1、内容-平成21年度は、以下のような研究実績をあげた。 (1)ドイツの民俗学の動向に関する情報収集;キール大学、ベルリン大学、ウィーン大学の各研究所を訪れ(森)、資料収集を行うとともに、それぞれの研究所における戦後の研究および教育の焦点の変遷、日本との比較をめぐって、現地研究者と意見交換した。 (2)7月4日に愛知大学国際コミュニケーション学会・三河民俗談話会でおこなわれたミニ・シンポジウムにメンバー3名が参加し、岩本は発表者として、森と重信はコメンテーターとして、研究発表をおこなった。 (3)9月と3月に、それぞれ2日間にわたってメンバー全員が会合し、研究状況の報告と意見交換を集中的に行った。学会報告、研究論文・著書の出版は各自で進めた。また、本研究で昨年度訪れたゲッティンゲン大学のベンディックス教授から、国際出版の1章を執筆するよう依頼され、森が英文論稿を執筆した。最終年度として、成果公開の論文集出版についても具体的に計画した。 2、意義と重要性-本研究は、民俗学のナショナルな性格と社会における意味を、文化人類学、民俗学、メディア史の学際的な視点から問い直そうとするもので、ドイツの民俗学研究者とも問題関心を共有し、国際的に相対化した視点から、学問実践の社会におけるあり方をとらえようとするところに意義がある。最終年度、ドイツの研究者との協力関係はさらに広がり、隣接する複数分野による国際的な共同研究として、また、学問と社会の関係を再考する新しい人文社会科学の模索として重要である。
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