研究課題/領域番号 |
19330002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田口 正樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20206931)
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研究分担者 |
林 信夫 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40004171)
西川 洋一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00114596)
小川 浩三 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (10142671)
神寶 秀夫 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (90118331)
新田 一郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40208252)
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キーワード | ドイツ / ビザンツ / ローマ / 皇帝権 / 都市 / 大学 / 刑事法 / 家 |
研究概要 |
今年度は研究初年度であり、それぞれの分担者・研究班が、対象とする時代・地域について研究状況の把握につとめ、その過程で浮かび上がったいくつかの個別論点を持ち寄って、全体研究会で検討した。 具体的には、800年のカールの皇帝戴冠をめぐる近時の研究が分析され、とりわけ「ケルンの覚書」と呼ばれる特異な-史料にもとづいて、ビザンツ側からカール側への提案と働きかけがあったと見る学説の当否が検討された。その過程で、「覚書」の史料価値について、史料論の見地から検討と議論がなされた。また、カールの皇帝戴冠に続く9世紀、10世紀における西欧とビザンツの関係について、使節の往来や皇帝称号問題などを中心に検討がなされ、政治史的考察にとどまらず、皇帝権の意義を終末論的観点から説明する研究動向が存在することに注意が喚起された。 更に、帝国自由都市マインツの都市参事会統治を対象として、中世から近世への移行期のドイツにおける都市統治の構造と機能が分析された。いわゆる「平和法典」などを史料として、とりわけ刑事法制の面から、近世的な集権化に向かいつつある都市統治の姿が照射され、その過程での都市市民の「家」の析出と位置づけについて、比較史的検討がなされた。 研究・教育活動の場としての大学とそこでの学問の自由についても、日本とドイツの法制度と議論状況を比較した検討が行われ、大学という部分的社会システムの機能と、そこにおける国家の役割について、単なる伝統への依拠とは違う法的議論を積み重ねてきたドイツの状況と日本の状況が対比された。
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