研究課題/領域番号 |
19330002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田口 正樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20206931)
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研究分担者 |
林 信夫 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40004171)
西川 洋一 東京大学, 大学院・法学政治台学研究科, 教授 (00114596)
小川 浩三 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (10142671)
神寶 秀夫 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (90118331)
新田 一郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40208252)
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キーワード | ドイツ / 自然法学 / 大学 / 地方史 / 空間 / 紛争解決 / フェーデ / 儀礼 |
研究概要 |
研究計画2年目の今年度は、研究班毎に中心的な論点の絞り込みを試みつつ、研究を深化させた。論点のうちいくつかを持ち寄って全体研究会で検討した他、外国人ゲストとの間でも研究成果の提示と意見交換を活発に行った。具体的な論点としては、例えば18世紀から19世紀の転換期のドイツにおける自然法学について、その特徴と意義が分析され、特に19世紀に入つてからの自然法学と自由主義との結びつきが改めて確認された。またドイツの諸大学における自然法学の消長が、一般的政治状況および各国の大学人事政策と密接に関わっていたことが示され、政治史・大学史・学問史を組み合わせた研究方向が展望された。また、19世紀から現在までのドイツにおける地方史研究の学問史に関して、研究対象となる空間規定の仕方と、比較史の方法という二つの軸から分析がなされた。比較という要請が一貫して存在していたのに対して、空間規定の方は近年ますます多様化・多元化しつつあり、その中で主観的な空間把握により強く注意が向けられていることが確認された。更に、イェール大学所蔵朝河貫一関係文書の調査結果が報告され、そこに含まれた書簡や日記を手掛かりに、朝河と彼の研究の学問史的位置づけについて議論がなされ、ヨーロッパの学界との人的・学問的接点に関して評価が交わされた。外国人ゲストとの議論としては、11, 12世紀ドイツにおける紛争解決に関して、そこでの法的仕組みの意義を強調したカール・クレッシェル教授の講演を受けて、法以外の行動ルールを重視する近年のドイツ史学との関係や、紛争解決の際のコミュニケーションの意義など、多岐にわたる問題が議論された。また日本史研究の側から、武士の間でありえた武闘のルールや儀礼に関して事例が紹介され、同時にそれらが時代とともに変質していく経過と背景が描写されて、ドイツの状況との対比が試みられた。
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