研究課題/領域番号 |
19330002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田口 正樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20206931)
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研究分担者 |
林 信夫 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40004171)
西川 洋一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00114596)
小川 浩三 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (10142671)
神寶 秀夫 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (90118331)
新田 一郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40208252)
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キーワード | 租税 / 貴族 / フランス:オーストリア / 裁判所 / ラント / ローマ法 / 写本 |
研究概要 |
今年度は3年計画の最終年度であり、個別テーマについての研究を深めるとともに、テーマ横断的な広がりを持ったいくつかの個別テーマを取り上げて全員で議論し、新たな国制史研究の可能性を探った。例えば、ポスト・ローマ期ヨーロッパをとらえるための歴史的枠組をどのようにとるかという問題が、近時のヨーロッパ学界での試みを参照しつつ検討され、当該時期における国家組織と租税システムの再評価、プラクティカルな貴族概念の研究手法としての有効性、古典荘園等に関する従来の社会経済史の通説を根本的に見直す必要性、などが論じられた。また近世フランスの裁判関係史料として、いわゆるアレティスト文献の性格、法学との関係、時期的変化が分析され、特に商事裁判所関係史料との関連を切り口に、アンシャン・レジームの法と国家を考察する際にアレティスト文献がどのような意義を持ちうるかが論じられた。更に、オットー・ブルンナーのラント論について、戦間期オーストリアにおける政治と歴史研究、および第二次大戦後のヨーロッパ志向という、ブルンナーの学問史的背景を掘り下げた分析が行われ、家と支配を基軸とする彼のヨーロッパ史把握の意義と限界について活発な議論が交わされた。またヴォルフガング・カイザー氏(フライブルク大学教授)をゲストに迎え、ローマ法史料の写本研究(個々の写本の構成・作成・修正・伝承の考察)が古代末期・中世初期の国制史と法史の研究にとって持ちうる可能性について、具体的な集合写本を例にとりあげつつ議論した。
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