本研究は、中国において政治国家と経済市場の間で存在感を増しつつある「社会」ともいいうる第3の領域である民間セクター(民間組織、社会団体、第三セクターとも称する)に着目し、中国法、中国政治の専門家により、以下の課題を遂行した。(1)民間セクター設立の根拠となる法制度(とくに設立許可手続、登記手続、監督制度、税制などの支援制度)、その運用実態、実際にいかなる団体が組織され、いかなる活動を展開しているかを明らかにすること。(2)中国の民間セクターをめぐる法と政治の特徴とそれらを規定する諸要因(政治、経済、文化など)を分析すること。(3)民間セクター法制の将来に向けての選択肢、今後、それが社会変革に及ぼす可能性について展望を示すこと。 本研究の特徴としては、(1)民間セクターの現況について法的側面からアプローチするものであること、(2)法の規範レベルだけではなく、それがいかに運用されているか、また現行法が民間セクターの現実との間でいかなる問題点を抱えているかを実証的に明らかにする点がある。
|