研究課題
法と経済学の方法に対する法哲学的観点からの総合研究がいまだ本格的に行われていない現況を踏まえ、法と経済学の方法について、法哲学を基軸としつつ経済哲学的および実定法学的な視点も導入した学際的視座から、総合的・多角的な考察を行うことが、本研究の目的である。これは、(1)法と経済学における基本概念の分析、(2)経済学的法解釈の可能性・射程の論定、(3)市場と法制度のあるべき関係の構想という具体的目的をふくむ。これらの具体的目的を効果的に達成するため、基本概念班(後藤、長谷川、吉原、那須)、法解釈方法班(山田、嶋津、吉原、宇佐美)、制度構想班(嶋津、後藤、常木、那須)の3つを組織した。ただし、各人は所属班のテーマを排他的に追究するのでなく、緊密かつ継続的な意見交換に基づいて他の班のテーマに関わる研究活動も積極的に行うこととした。その上で、基礎作業段階とされた本年度には、(1)学問的蓄積の共有化、(2)現在の研究状況の把握、(3)法哲学的・経済哲学的論点の析出、(4)先端的研究の把握を行った。より具体的には、各人が文献の収集・分析を精力的に進め、3回の全体的研究会合と一部のメンバーによる2回の研究打合せ会とを開き、国内外の学会大会・シンポジウム等で先端的研究の把握や研究成果の発表を重ねた。上記の活動の結果、まず基本概念のなかでは、とりわけ正義に関する経済理論的分析を深化させることができた。具体的成果として、宇佐美による正義全般に関する考察と、後藤・吉原による分配的正義の分析がある。次に、法解釈方法論については、法理学を含む法学と経済学との接合可能性を多面的に論じた常木の著書が、間もなく上梓される。また、方法論に関連して、嶋津・山田・那須が法学教育論を展開した。制度構想の基礎理論をなす成果としては、後藤による法・経済・倫理という包括的視座からの不正義是正論や、吉原による搾取分析がある。
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社会政策研究 8(近刊)(掲載決定)
ジュリスト 2008.5.(近刊)(掲載決定)
法学セミナー 2008-3
ページ: 25-29
Review of Economic Design 11
ページ: 253-270
Japanese Economic Review Forthcoming(掲載決定)
季刊経済理論 44(4)
ページ: 3-5
Archiv fur Rechts- und Sozialphilosophie Beiheft 109
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法哲学年報2006
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学術の動向 2007.8.
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都市問題 98(7)
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社会保障研究 43(1)
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International Journal of Game Theory 36
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経済セミナー 626
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法哲学年報 2006
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