研究課題
法と経済学の方法に対する法哲学的観点からの総合的研究がいまだ本格的に行われていない現況を踏まえ、法と経済学の方法について、法哲学を基軸としつつ経済哲学的および実定法学的な視点も導入した学際的視座から、総合的・多角的な考察を行うことが、本研究の目的である。これは、(1)法と経済学における基本概念等の分析、(2)経済学と法政策の関係の検討、(3)市場を視野に収めた法制度の経済学的な解明・展望という具体的目的に分節化される。これらの具体的目的を効果的に達成するため、3つの班に分かれて活動を行った。もっとも、各人は所属班の課題を排他的に追求するのでなく、緊密・継続的な意見交換に基づいて他班の活動にも積極的に関わることとした。その上で、総合・完成段階として位置づけられた本年度には、(1)共同討議による相互的な理論彫琢の継続、(2)成果の個別的発表の継続、(3)各成果の有機的統合、(4)成果の組織的発表を行った。具体的には、(a)すでに平成20年度末に開始した、各人の最終成果物論文の暫定稿を発表し共同討議を行う全体的研究会合を、今年度には2回開催した。(b)研究作業の進捗が良好だったため、当初の予定よりも早く10月に、3名のコメンテータを招き最終成果発表シンポジウムを開催した。(c)最終成果物の論文集の公刊に向けた作業を継続し、完了した。上記の活動の結果、(1)に関して、効率性・正義・権利等の基本概念の分析、経済学的および法学的な法観念の考察、経緕学的モデルの再検討を行った。(2)については、法政策の基礎理論としての経済学の可能性と射程に関して多角的に検討した。(3)では、社会福祉・学校教育・民事訴訟というわが国では経済理論的研究が未開拓である諸制度について分析した。これらをまとめた論文集が平成22年夏頃には公刊される予定である。他の主要成果には、中間成果物の発表として行った平成21年度日本法哲学会学術大会での宇佐美・嶋津・後藤による報告等の公刊、法と経済学に関する常木の諸論考、搾取概念を経済学的に分析した吉原の多数の英語・邦語論文が含まれる。
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