研究課題/領域番号 |
19330010
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
柴田 明穂 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (00273954)
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研究分担者 |
玉田 大 神戸大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (60362563)
酒井 啓亘 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80252807)
濱本 正太郎 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50324900)
竹内 真理 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (00346404)
阿部 達也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (80511972)
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キーワード | 国際法 / 実効性 / 正当性 / 具体的国家観 / 法源論 |
研究概要 |
本研究は、国際法の一次規則の背後にあって、既存の国際法原則・規則の規範的関係ないし適用関係を律し、その社会適合性を促すinterstitial normの存在証明とその機能分析を行うことにより、合法性と正当性、実効性の間で揺れ動く国際法規範・組織の動態把握を目指す。最終年度となった本年度は、これまでの研究成果を踏まえて、interstitial normの概念枠組を(1)変動する社会状況を具体的に反映する「L'etre situe」概念、(2)法の目的を実現する「effectivite」概念に分解し、これらを共通の理論的基盤として、それぞれの専門分野におけるinterstitial normの機能発現について考察した。 2011年2月に開催した最終報告会では、概要以下の内容にて報告が行われ、これらを論文集にまとめる努力が継続されている。濱本正太郎は、1970年代の開発の国際法の失敗を「国家への固執」思想に求め、「人」を前面に押し出す現代の開発アジェンダから取り残されたと主張した。酒井啓亘は、国連とは異なる原理で運営されるアフリカ連合を、国連システム内の地域的機関として位置づけようとすることの相克と調整のダイナミズムを国連平和維持活動を例に跡づけた。柴田明穂は、国際共同体的思想を体現する抽象的原理と、既存制度の運用を事細かに規制するソフトな細則との狭間にあって、依然として厳格な成立形式を維持して形成される国際法の機能を、先端的科学技術の規制をめぐる国際法を題材に検討を試みた。玉田大は、国際投資仲裁における暫定措置の機能を「投資利益共同体」概念を軸に再評価した。小林友彦は、WTOにおける「迂回」行為に焦点をあて、違反ではないが制度の実効性を損なう行為の国際法上の取扱いを考察した。竹内真理は普遍管轄権につき報告を行い、阿部達也は、軍備管理分野におけるソフトローの機能を考察する草稿を提出した。
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