研究概要 |
まず,弁護士イメージ調査の結果の統計学的分析を行い,研究成果を取りまとめた.これは商事法務研究会から『弁護士イメージの研究』(商事法務)として単行本として出版予定であり,再校も終了して2011年夏の出版を待つ状態となっている.また,この研究成果の一部は2010年4月21日の「六本木研究会」および2010年5月のLaw&Society Association Annual Meeting (Chicago, IL, USA)で報告した.さらに,2010年3月に実施た,弁護士のスキルや能力評価調査のデータクリーニングと分析を行った.この調査は,熟練の弁護士延べ100名の協力を得て,最高裁判所の許可のもと,東京地方裁判所の協力を得て,熟練弁護士による弁護士評価を実施したものである.すなわち,2007年新受事件の中で既に終了した事件で,判決または和解で終了し,原告被告双方に弁護士が訴訟代理人としてついていて,裁判所記録上「その他」事件に分類されておらず,比較的充実した事件をランダムに抽出して,2名の熟練弁護士が相互に独立して当該民事訴訟記録を読んで,弁護士のスキルと能力を評価する研究であり,190件について実施した.この研究成果は2011年6月にサンフランシスコで開催予定のLaw & Society Association の Annual Meetingで発表することになっている.さらに,「法曹の質」と法曹養成制度の関連,とりわけ,司法修習生に対する給費制度から貸与制度への以降の動きが,法曹志望者の能力や成績に影響をどのように与えるかに関連して,法科大学院生の協力を得て,学部学生への質問票調査と,一般人へのインタネット調査を実施して,分析研究した.以上によって,法曹の質の社会科学的概念規定と,その概念に基づいた多面的アプローチによる実証研究を積み上げることができた.
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