研究課題/領域番号 |
19330028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
権左 武志 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (50215513)
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研究分担者 |
田口 正樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20206931)
山本 文彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30222384)
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キーワード | 連邦制 / 帝国 / 主権国家 / ヴェストファーレン / ワイマール / サヴィニー / プロイス / カール・シュミット |
研究概要 |
田口正樹は、15世紀教会法学者ペーター・フォン・アンドラウの帝国論を取り上げ、その特徴を分析した。14世紀ルーボルト・フォン・ベーベンブルクの帝国論と比較し、教皇権寄りの主張と皇帝権の高評価の両立、帝国のドイツ的性格増大、ドイツ貴族の意義強調とイタリアとのつながりを確認した。山本文彦は、1648年ヴェストファーレン条約の同時代独訳を検討し、これまで議論の対象となってきた主権、領邦高権、同盟権の同時代的理解を考察した。これは、神聖ローマ帝国国制の同時代的理解や帝国の連邦制的実態の解明につながる。守矢健一は、9月までフランクフルト大学法学部でサヴィニー慣習法論を研究した。サヴィニーの慣習法論は、法の全体から実体民事法を切り取り、《脱政治的な》体系を構築したサヴィニー法学で枢要な地位を占める。ドイツ語論文をサヴィニー雑誌に公刊する。遠藤泰弘は、ギールケとその弟子プロイスの政治秩序構想に関する昨年度までの研究を総括し、法制史学会近畿部会とドイツ史研究会で報告した。成果は『ジュリスト』邦語論文と共著の独語論文としてまとめたほか、プロイスの政治構想に関する論文を執筆中である。今野元は、昨年度に入稿した論文が、査読付学会誌に掲載された。更に本論文の副産物として、ヴァイマールのドイツ国民議会における連邦制の論議を概観した小論を執筆し、2月にドイツ史研究会で発表した。権左武志は、昨年度の海外出張で収集した資料を分析し、ワイマール末期におけるカール・シュミットの連邦制論議が、体制転換と第三帝国創立に果たした歴史的意義を解明した上で、2月にドイツ史研究会で報告し、成果公表の準備を進めた。林知更は、ワイマール期連邦国家論の意義を測る比較対象として、第二帝政期国法学の研究を進め、ザイデル、ラーバント、イェリネック、プロイスを中心に学説状況を分析した。またアンシュッツを手がかりにワイマール期連邦制改革論をめぐる問題状況を究明し、ドイツ適邦国家の歴中的特質に関する近年ドイツの研究状況の概観に努めた。
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