2008年の大統領選挙と議会選挙における予備選挙も視野に入れながら、民主党・共和党におけるイデオロギー的位相、関係イデオロギー団体の動向、およびそこでの予備選挙の機能について分析を行った。 共和党側ではとくにClub for Growthに焦点をあて、共和党現職議員を落選させようとして行ってきた政治献金活動について研究を行った。この成果は、きわめて近いうちに研究論文に結実する予定であり、平成21年度中には刊行されるはずである。ここでは、このような経済右派の団体による政治活動が、必ずしも現職議員の落選そのものに帰着しないにしても、共和党の穏健派議員全体に対して、穏健路線を支持することの政治的リスクを思い知らせ、委縮効果を及ぼしていることを示唆した。予備選挙が政党のイデオロギー的体質を変えていく転轍器の役割を果たしていることが、かなりの程度証明されうる事例である。 08年については、オバマが民主党の左派・反戦派の支持に乗ってヒラリー・クリントンを破ったことに、予備選挙過程における左派の強さが示されている。また、元来中道色を色濃くもっていたマケインが共和党内で勝ち抜くために保守にすり寄り、また副大統領候補に保守派のペーリンを抜擢したことに、共和党における保守派の強さが示されている。このあたりを指摘した論考をいくつか発表した。
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