• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

オークション制度設計の行動経済学からの新提案-市場と人間性の理論・実験分析

研究課題

研究課題/領域番号 19330041
研究機関信州大学

研究代表者

西村 直子  信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)

研究分担者 西條 辰義  大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
キーワードオークション / 実験経済学 / 経済理論
研究概要

本研においては,伝統的経済学が想定している自己利益のみを追求する利己的人間像を離れ,相手の利得の大小も重要な判断要因となる主体を考察する。先行研究は,公共財供給など協力行動の重要性が当該主体にもよく認識されている場面での分析に集中しているが,オークションという競争的環境を分析対象としているところに本研究の独創性と特徴がある。オークションの4つの基本方式において,先行の入札実験研究結果が伝統的理論と矛盾起こすことがよく知られているが,本研究では相手の利得を下げてほくそえむ「スパイト」的主体と,そのスパイト意図に反応して報復する互恵的主体の入札行動を分析し,その矛盾を理論・実験の両側面で解決する。
「競り」方式と「第2価格入札」方式における入札実験では,スパイト=抗スパイト行動の存在を観察し,本研究が提案する理論との整合性を実験でも確認した。この結果をまとめた論文は,現在,査読つき学術雑誌に投稿中である。また,H21から22年度にかけて,オークションの基本形のうち残る2つの方式である「第1価格入札」と「ダッチオークション」の分析を行った。この2つの方式は同値であるとされている一方で,実験室ではダッチオークションの方が低い価格を形成することが早くから知られていたが,現在まで原因は不明とされてきた。本研究では,相互スパイト的な主体を想定した場合,既存理論と異なる均衡入札集合を特定した結果,競争相手の状況について情報が完全である場合も,不完全である場合も,2つの方式の同値性は崩れ,実験結果と整合的な理論仮説が導き出せる。これまでに実施した実験分析においては,上記の仮説はほぼ支持されたと言え,これまでのオークション研究に一石を投じる内容だと期待される。本結果は,現在論文にまとめ,Discussion Paperとして発表する一方で,査読つき学術雑誌へ投稿準備作業を行っている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The Spite Dilemma Experiment in Korea2011

    • 著者名/発表者名
      Chun Youngsub, Kim Jeongbin, Saijo Tatsuyoshi
    • 雑誌名

      Seoul Journal of Economics

      巻: 24(1) ページ: 87-98

    • 査読あり
  • [学会発表] Risk Attitude in SocialPreferences2010

    • 著者名/発表者名
      西村直子
    • 学会等名
      第14回実験社会科学コンファレンス
    • 発表場所
      一橋大学
    • 年月日
      2010-09-12
  • [学会発表] Non-Equivalence between Dutch and First-price Auctions with Reciprocal Bidders2010

    • 著者名/発表者名
      西村直子
    • 学会等名
      東大マイクロワークショップ
    • 発表場所
      東京大学経済学部
    • 年月日
      2010-05-11

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi