研究の目的において書いたように、家族構成やライフ・ステージの違いは、同じ金額の帰属家賃が発生している住居に住んでいても、更には同じ住環境にいても、実際に得ているサービスの価値が異なってくると考えるのは自然なことである。第2年目となる本年度は、地域の政策が地価の変化を通じて地域住民に対してどのような影響を与えるのかについて、京都市における景観規制を例に地域政策の変更がどのような形で地価を変化させるのかについて実証的な研究を行った。この成果は、大学院生との共同研究として日本応用地域学会(釧路公立大学)において論文を報告した。 申請書の分析方法の所でも書いたように、本年度はアンケート調査を行うことによって、家族構成やライフ・ステージの違いによって家計の消費水準が同一であっても、消費や居住環境から得られる効用水準が異なる場合についての調査を行った。具体的には、関東地域を対象として、住宅の状況及び住環境の中から特に土地と建物に代表される実物資産について所有有無を含めた格差の調査と、医療施設へのアクセスを対象とした住環境の格差の評価についてアンケートを行なった。アンケートの結果は、2000名を対象として郵送でアンケート調査を行い、1118名の回答を得ている。この調査に関して、単純集計は調査会社によってなされているが、具体的な有効回答数、アンケートの設問の事後的な評価を現在行っているところである。さらに、現在来年度に向け、このアンケートに対して住環境の格差を評価するため、具体的な分析に取り掛かっているところである。分析結果については、来年度中に論文にまとめるとともに、来年度関西地域で行う追加的な調査に関して設問の追加及び削除についても同時に検討している。
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