研究課題
グローバリゼーションの進展により、各地域はこれまでのような国内の競争だけでなく、国際的な競争に直接晒されるとともに、世界経済の影響も強く受けることなった。特に、新経済地理で協調されるような独占的競争が主要な産業分野に一般なものとなったこともあり、従来にも増して集積の経済効果が有意に現れるようになってきている。この結果、交通技術の革新による輸送費用の低減と石油等の枯渇によるエネルギー価格上昇の相反する効果の強弱如何によって、今後世界的に集中・過疎の2極化がさらに進むか、あるいは分散化するのかは、世界的な経済構造から見ても非常に重要な問題と考えられる。黒田は、昨年度に引き続きヘルプマン・モデルの拡張として、ティブー型の公共財供給による地域間競争をモデル分析し、その場合でもヘルプマン型の結果が基本的に得られることを示した。また、黒田・瀬古は全国のBITデータを利用して、2008年9月のリーマン・ショックの影響が、日本の競売市場にも存在することを計量経済学的に検証し、2008年9月に売却件数が大幅に増え、2008年9月以降マンションと戸建の売却価額は緩やかな低下傾向にあることを明らかとした。瀬古は、このような住宅価格の下落が我が国のリコース型住宅ローン制度の下での転居に与える影響を分析するモデルの推定を行ない、2009年7月にアメリカ不動産・都市経済学会とアジア不動産学会の合同会議で報告し、最優秀論文賞を受賞した。中村は、地域間格差に関して、集積の経済、所得移転、人口移動の各要素がどの程度機能しているかに関して、New Growth Theoryを用いたConvergence Modelを改訂し、実証分析をおこなった。その成果は、Pacific Regional Science Conference (2009)にて報告し、現在、学術誌への投稿を準備している。
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DEE Discussion Paper, Nagoya University #09-3
ページ: 1-38
Keio Economic Society Discussion Paper Series (received Best Paper Award for the Maury Seldin Advanced Studies Institute, the 2009 AsRES-AREUEA Joint International Conference) 9
ページ: 1-24
住宅土地経済 74
ページ: 27-34
JOYO ARC 第41巻第479号
ページ: 6-13