今後急速に進展すると予想されるわが国の少子高齢化現象が及ぼす影響については、都市の外延部が縮小することにより都市自体が相対的により稠密になり、財政的に郊外部の公共財・サービスの維持が困難となることから分散的な居住自体を制限し都市への集住を促進すべきであるという主張(コンパクトシティ)がある一方で、これまでの人口過密による高地価の解消と人口の多くを占める高齢者の生活様式から、むしろ分散型の空間構造をもたらすという主張(田園都市)もあるなど多様な主張が混在している。そこで、本研究では、都市・地域の空間構造に尺度的基礎を置き、産業構造、就業形態、居住形態などの側面から、その影響を理論的かつ実証的に検討し、今後の都市・地域政策への指針を得ようとするものである。
|