研究概要 |
2008年は次のような研究活動を行った. 1)各国の特許データ等を基にして,日中韓を始めとする東アジア諸国の開発途上国・中進国と日米加等の先進国の間における特許引用,貿易及び技術スピルオーバーに関する実証研究成果の報告及びその論文出版(電子ジャーナル版でオンラインファーストの形で閲覧可能)を行った. 2)知的財産権の保護の程度が国際的な技術移転や企業の立地選択に与える影響に関して理論分析を行った.三国間の研究開発競争と政策的支援に関しても理論分析を行った.研究成果は別々の論文にまとめて学術専門誌に投稿中である.更に,国際間のR&Dスピルオーバーに関する先行研究の読み込みを行い,理論モデルの構築に向けた予備的考察を行った.特に,特許の引用データによって捉えることができるスピルオーバーに着目した. 3)2008年度に次の現地調査を行った.(1)中国の製造会社の技術開発について,2008年9月から今年2月まで,上海自動車,陜西自動車など十数社に対する聞き取り調査を行った.その結果の一部をすでに「中国製造企業の技術開発と人材育成」という題にする論文にまとめ,現在論文を投稿に向けて修正しているところである.(2)韓国の製造会社の技術開発に関して,2009年3月に現代自動車,現代モビース等の7社に対して聞き取り調査を行った.その結果は現在整理しているところである.加えて,中国の製造会社のイノベーション活動に関するアンケート調査を実施し,合計210社から回答を得たので,現在その回答内容の整理と入力を行っている. 4)日本と韓国の労働生産性の比較に向けて,特に後者の製造業に関する付加価値と労働者投入に関するデータの収集を行うと共に,企業のR&Dに関する推測的変動がその投資と産出量に与える効果分析を寡占モデルを用いて考察している.
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