研究課題/領域番号 |
19330055
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
安川 文朗 同志社大学, 研究開発推進機構, 専任フェロー(准教授) (90301845)
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研究分担者 |
相馬 孝博 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (90262435)
福田 敬 東京大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40272421)
飯島 佐知子 愛知県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80389890)
坂梨 薫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60290045)
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キーワード | 医療安全 / リスクマネジメント / 安全投資 / 費用対効果 / 病院組織 / 経済分析 |
研究概要 |
(1)関連文献の検索等:国内、国外あわせて約120件の文献、資料を検討した。その結果、1)医療事故発生による追加的コストに関する議論、2)特定疾病の術式、治療方法の違いによるアウトカム比較を行ったものが半数ずつ確認され、医療安全投資の経済的検討を直接扱った文献はほとんど見られなかった。ただし近年、人的資源配置の状況と医療のアウトカムの関係の分析がアメリカで進んでおり、10Mも安全回避の組織マネジメントの導入を提言していることが確認された。 (2)進行中の調査・研究に関する検討:国内研究として、1)「医療の安全・質に関するコスト調査研究」(厚生科学研究費)、2)「医療の質と安全の推進に向けたICTの活用〜ユーザビリティからみた有効性」、海外研究として3)DIMS(Danish Institute of Medical Simulation)の実際を検討した。1)については、全国406施設(有効回答)の膨大な収集データから、「病院組織の体制づくり」「研修教育」「事例収集、サーベイランス」「医薬品管理・医療機器保守点検」「患者相談業務」における従事時間と患者1人当り安全コストが算出されているが、同時に当該業務と実際の安全向上との関係に関する指標の未確定という課題が残っており、今後本研究でも取り組むべき点と再認識した。2)については、電子カルテ・物流システム等の導入が安全性を向上させる要件として「扱いやすさ、わかりやすさ」の重要性を検討しているが、ユーザビリティと効率性とのバランスについて検討課題が残った。また3)については、2回の訪問により実際のシミュレーションプログラムに参加し、事前学習、実地、レビュー、学習というPDCAサイクルをまわすことで、アクシデントに対応できる組織体制と医療者の資質向上をはかっている状況が把握できた。 (3)医療安全投資コスト分析のミクロレベルモデル:食品安全におけるHACCPを援用した投資モデルの提言を、セミナー講義および雑誌論文を通じておこなった。
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