研究概要 |
この研究では,人口減少の始まった2005年に行われた国勢調査の公表結果を利用し,社会構造推計2000年モデルによる都道府県および市区町村の推計結果と照合し,分析して,新しい地域社会構造推計2005年モデルを開発することを最終目標としている.このため 1 社会構造推計エンジン開発の対象を,国・道州および都道府県・市区町村の3種のサブシステムにわけ,システムダイナミックス言語を用いて新たな応用プログラムを開発した.この開発された応用プログラムを用いて,2005年モデルのプロトタイプを開発し,全世界・東アジア諸国・日本・都道府県の社会構造推計を行った. 2 新しい社会構造推計エンジンは,標準推計,線形推計,政策変数フィードバック入りの3モデルが作られ,47都道府県を対象として,人口の将来構造の変化に適合するか否かの評価を試み,モデルに改良を加えた.具体的には,死亡関数と,出生関数を理論的に定め,その論理をモデルで具現化し,従来のエンジン出力と実測データとの解離を解消を試みた. 3 平成14年以来,各種研究費で整備されてきた"Post-Max-Network-Workshop"(PMN工房)が研究の場であるが,これまでの研究で得られたデータベースを外部から利用できるようにするために,科学研究費の採択と共に,一度解消したWebDAV経由のネットワークを再構築し,外部の研究者や行政官が自由に利用できるよう整備が完了した.これを用いて政策研究院内部の大学院生に幾つかの県の市町村モデルを制作させ,推計結果をその市区町村の実情と照らして評価を行った. 4 この結果,2005年モデルでは,高齢化率28%を超える市町村で合計特殊出生率の減少が止まり,その地域独自に決まる定値となること,移動率が経済規模によって変化することなどが判り,新たなモデル制作の指針が得られた.
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