3年の研究期間の2年度目に当たる平成20年度は、研究項目のうち、「「摺り合わせ」人材育成の必要性と妥当性」の検討、「職種・職階別人材育成と企業内分業体制」およびに関する調査を実施し、以下のような成果を得た。 2.「摺り合わせ」人材育成の必要性と妥当性 前年度に得られた知見を踏まえた上で、自動車産業技能検定試験をはじめとする自動車産業人材開発プログラム(AHRDP)にかかわる日タイ両国の関係者へのヒアリングを行った。これに加え、他国の事例、他産業の事例を含めた文献調査、日本国内の自動車産業でのヒアリングを通じてより多角的な見地から「摺り合わせ」人材育成の必要性と妥当性を検討した。とりわけ、タイ自動車産業が中国やインドといった新興自動車生産国との間で競争優位を獲得するための手段として、「摺り合わせ」人材を育成することが重要であることが確認できた。 3.職種・職階別人材育成と企業内分業体制 技能系従業員および技術系従業員については、タイ自動車研究所、日本貿易振興機構バンコク事務所の協力を得て、自動車産業技能検定試験の合格者を対象とする訓練・試験制度の効果に関する調査を実施した。2004年度から2008年度の合格者250名あまりのうち、53名から質問票への回答を得た。回答結果を基に、訓練・試験学習成果、仕事での利用、ビジネス上の成果、個人の満足度にどのような効果がもたらされたかについての分析を進めている。 以上の成果は、国内関係者による報告書執筆方針の検討や本年度に2回予定している現地調査、報告書の最終とりまとめに向けた現地協力者との研究打ち合わせを通じて検討し、報告書の内容に反映させる計画である。
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