アジア経済はこれまでの順調な成長軌道から一変して、2009年より不況の波に襲われることとなった。 アジアの中でも特に、輸出比率の高いシンガポール、台湾、マレーシア、タイ、香港などは大きな影響を受けた。 さらに、それまで高度成長を続けてきた中国とインドも、経済成長率を大幅に下げることとなった。 これらの波及効果を調べたところ、輸出の減少、金融収縮、心理的効果の3つがアジアの国毎に差があることが分かった。 一方、国レベルの環境問題に対する取り組みにも変化が見られるようになり、企業行動にも影響が出てきた。 4月にロンドンで行われたG20会合では、財政支出の拡大と金融機関への規制をめぐる先進国同士の対立も顕著に見られた。 他方、米国のグリーン・ニューディール政策に代表されるような新しい環境政策も、先進国によって打ち出され始めた。 他方、途上国における資金の流れはまだ回復しておらず、世界レベルで環境問題をどう取り組みかは明確になっていない。 貧困問題も依然として深刻であり、アジアの多くの途上国では教育保健などの公共サービスのデリバリーが不十分である。 このような状況における企業のCSRの役割も大きくなってきており、いわゆるBOPも重視されるようになってきた。 これらのイシューについて、政府や企業、途上国のNGOなどに聞き取り調査を行い、共通要因と国別の要因とを整理した。
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