世界経済アジア経済不況の影響を受けて、アジア経済がどのような影響を受けたかを中心に、計量経済学による調査、およびフィールド調査を行った。 具体的には、世界不況のアジア各国のGDPに対する影響、エネルギー価格の乱高下によるアジア諸国の環境面への影響、貧困層に対する影響、新興国の世界経済における経済的地位の相対的向上、日本を始めとする先進国の企業の国際投資の変化、移民の送金に対する影響、地球温暖化に対する影響、貿易及び金融面におけるアジア経済統合に与える影響を中心に、おもに二次データを中心とする計量分析を行った。 その結果、金融面の世界経済との統合の度合いによる影響のほうが、貿易面による統合よりも大きいことが明らかになったほか、中国とインドの経済に対する影響が、他のアジア諸国における影響よりもかなり小さかったこと、内需の果たす役割が大きかったことなどが明らかになった。また、分野別の経済自由化のスピードが、外的なショックに対する対応とどのような相関関係を持つかを明らかにした。 また、国際開発援助においても、パラダイムシフトが起きつつあり、中国を始めとする新興ドナーの役割と強調の必要性、さらには世銀や国連などにおけるこれらの国の発言力の強化などが明確となってきた。 さらに、アジアの途上国における韓国や中国などの新興国企業の躍進と日本企業の停滞が数量的に明らかにされた。 最後に、今後のアジア経済の持続可能な発展に向けて、国際協力の観点から、マクロ経済政策と環境政策の統合、国際間の取り決めの推進といった、いくつかの具体的な政策提言を行った。
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