研究分担者 |
田中 亘 成蹊大学, 法学部, 准教授 (00282533)
森田 果 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (40292817)
内田 交謹 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (80305820)
蟻川 靖広 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90308156)
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 准教授 (80386341)
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研究概要 |
ブルドック対スティール・パートナーズの敵対的買収防衛策をめぐる攻防は,お茶の間の話題となっていた。2002年以降,米国アクティビスト・ヘッジ・ファンドのスティール・パートナーズは,30社以上の日本企業をターゲットにしてきた。スティール・パートナーズはどのような企業を狙い,企業価値にどのような効果を与えるのかといった質問に答えるために,〓・内田等はターゲット企業の特徴,株式市場の反応およびターゲット企業の株式長期投資収益率を分析する。ランダムに抽出した同業他社と比べて,スティール・パートナーズが狙った企業はフリー・キャッシュ・リッチであり,村上ファンドのターゲット企業は単にキャッシュ・リッチである。株式市場はフリー・キャッシュ・リッチのターゲットに対してより好意に反応する。また,新米の村上ファンドよりもベテランなスティール・パートナーズに対して好意的に反応する。さらに,株価は長期的にも上昇することから,株式市場の短期的な過剰反応説やいわゆる"売り抜け説"は支持されない。つまり,クロース・ボーダー・ヘッジ・ファンド・アクティビズムが企業価値を殿損しないという重要な政策含意に富むものである。これを踏まえて,田中は法学の角度からニッポン放送事件とブルドックソースの防衛策の是非を検証した。内田・蟻川・森田・武智は会社法,資本市場とクロース・ボーダーM&Aなどのさまざまな角度から日本の企業統治の変遷と新展開を分析した。
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