研究概要 |
本年度は消費と資産価格に関連する4本の論文について研究を行った。Andrei Semenov, Parantap Basuとの共著論文では、アメリカを自国としイギリスを外国とする2国モデルにおいてリスクプレミアムパズル、リスクフリーレートパズル、実質為替パズル、フォワードプレミアムパズルの4つのパズルの検討を行った。そして非完備市場において部分的に個人のリスクがヘッジされるモデルおよびまったくヘッジされないモデルによって、これらのパズルが同時に説明できることを示した。この論文は現在投稿中である。David Barr, Parantap Basuとの共著論文では、上記のモデルを応用してイギリスのインフレ連動債の価格を均衡論の枠組みで導き出した。そして消費成長率、インフレ率、クロスセクションの消費水準の分散という経済変数の変化が、債券価格にどのような影響を及ぼすかを考察した。この論文はまもなく投稿予定である。久保田敬一、徳永俊史との共著論文では、日本の資産収益率の週次の特性について個別株式とポートフォリオでは異なった性質を持っていることを示した。この論文はまもなく投稿予定である。牧厚志との共著論文では、標準的なCCAPMにおいて非耐久財とサービスを加重する標準的な手法に対して、これらを別個の消費アイテムとして扱うモデルでは、リスクプレミアムパズルおよびリスクフリーレートパズルの解決につながる事を日本のデータを用いて示した。この論文は改訂版を投稿した。
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