研究概要 |
今年度は研究の完成及び投稿を行った。この研究では四本の論文を完成した。第一に、リスクプレミアムパズル、リスクフリーレートパズル、通貨プレミアムパズル、実質為替レートパズルの四つのパズルを対象とする論文を執筆した。具体的には保険によってヘッジできないリスクがある非完備市場モデルでこれらのパズルを統一的に解決する理論および実証研究をおこない、Kocherlakota and Pistaferri(2009)を拡張したBasu,Semenov and Wada(2009)を完成し投稿し審査中である。第二に、上記モデルを用いてインフレ連動債券の均衡価格を導き、その価格がインフレや消費の不平等性等経済上重要な変数の変化にどのような影響を受けるかを考察した理論および実証研究であるBarr,Basu and Wada(2009)を完成し投稿し審査中である。第三に、リスクプレミアムパズルについて非耐久財とサービス消費を明示的に分けて考察することにより解決を目指す理論・実証研究であるMaki and Wada(2009)を完成し投稿し審査中である。第四に、日本の長期間の株式の収益率のデータを用いて収益率の相関構造が、考察対象を個別株式からポートフォリオと変化させることによって、銘柄数が変化すると相関構造がどのように変化するかを考察した実証研究であるKubota,Tokunaga and Wada(2010)を完成させ、まもなく投稿の予定である。また論文完成に先立ち、学会発表以外にもウイスコンシン大学、ソウル国立大学、高麗大学等で発表を行った。
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