研究課題
本研究の中心的な課題は、企業価値の評価に関わる諸問題である。これまでの企業価値の評価方法を、ファイナンスに関わる諸分野の成果に基づき発展させるだけでなく、2000年代の日本企業に適用して実証的な分析を行うことを意図している。後者の点に関しては、依然としてメインバンクが大企業のパフォーマンスに影響を与えていること、特に収益性が劣る企業を、メインバンクが存在することにより効率的に清算あるいは存続させていること、またこうしたメインバンクの機能はリーマン・ショック後に初めて発揮されたこと、1990年代には働かなかったことを明らかにした。一方、数理ファイナンスの観点から、利子率のランダム・ウォーク仮説に関する再検討、エキゾチック・オプションを含む様々なオプション価格の評価方法の開発、また高頻度データを用いた収益率のボラティリティの推定方法の提案などが行われた。こうした新たな企業の資産評価方法に基づく企業価値が再検討され、そうした成果を反映させながら、日本企業のパフォーマンスを、日本に固有のコーポレート・ガバナンスの特徴を考慮して分析が行われた点に本研究の意義は存在する。またこうした研究成果を、国際的な査読付き学術雑誌に公刊するとともに、数多くの海外の学会・研究会で報告できたことにより、本研究課題が意図していた、研究成果の国際的発信も一定の水準で達成することができたと考えられる。今後は本研究課題で解決できなかった問題を整理し、新たな問題を解決することをめざしたい。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
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