平成20年6月に頚椎ヘルニアを発症し、5ヶ月ほどの療養を余儀なくされ、研究機関を4ヶ月間延長した。シンガポールでは本研究で収集している文書を趣味で収集している切手収集家の家を訪ね、文書を写真撮影した。彼が持っていた文書のうち、本研究に必要な内容の文書は少なかったが、文書の現在価値の決め方や取引の方法、他の国で同様の文書の収集者の存在等について、貴重な情報を得ることができた。ロンドンではアジアアフリカ学院の図書館の特別室にあるファーニバルコレクションの閲覧に通い、彼が収集・整理したイギリス領植民地期の土地および査定調査関係の未公刊資料を写真撮影した。ロンドンの収集家には時間的余裕がなく会うことができなかった。平成21年2月には、予定よりも遅れたが、イギリスによる植民地化が遅れた上ミャンマーと呼ばれる中央平原地域にも収集対象の土地・借金文書が残されていないか、マンダレー、モンユワ、チャウセー郡で訪問調査を行なった。しかし、それに詳しい現地の法学部の元教授の死去、私自身のデング熱感染のため、思うようには調査が進まなかった。そのため、延長期間中の7月に同様の調査を行なったが、こうした文書が残されているという話は聞いたものの、上ミャンマーには週対象となる文書の存在を確認することはできなかった。現地調査期間中以外は、収集した資料を分類し、とくに小作と抵当に関する文書を集中的に整理し、データベースの構築を進めた。
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