研究課題/領域番号 |
19330084
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 修嗣 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (80239938)
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研究分担者 |
田口 直樹 大阪市立大学, 経営学研究科, 准教授 (60303252)
野村 俊郎 鹿児島県立短期大学, 商経科, 教授 (00218364)
田中 幹大 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (00435992)
和田 寿博 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40263917)
李 東碩 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60263638)
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キーワード | 自動車産業 / サプライヤー・システム / SPS / トヨタシステム / 中国 |
研究概要 |
平成21年度は、主に、中国広東省に進出している日系自動車メーカーおよびサプライヤーを中心に取引の実態について調査を行った。とりわけ、重視したのは広州市の南沙地区に進出しているトヨタ自動車(広汽トヨタ)と関連サプライヤー13社の調査である。調査の目的は日本的取引システムのどの部分が修正され、どの部分が維持されているかを明らかにすることである。結論を示すと以下の3点に集約できる。第一に、広汽トヨタと関連サプライヤーはサプライヤーパークの中に立地し、専用道路で相互につながれており、順引きで取引を行っている。第二に、広汽トヨタにおいては、SPS(Set Parts Supply System)システム=一台分の部品をセットして組立いる方式、を導入による作業員の単能工化により、不熟練でも迅速に作業が覚えられる仕組みをつくっている。第三に、関連サプライヤーの部品調達先は80%以上が日系企業からの調達である。これらのことを綜合すると、圧倒的な低人件費を条件にSPSを導入し、かつ順引納入をサプライヤーにさせることで同社内での中間在庫を極力減らしている。そして、取引先は日系企業で固めることにより自動車の品質を確保している。すなわち、日本と決定的に違う中国の生産管理上の条件は中国の労働者の質の問題である。長期雇用を前提としている日本に対して、中国はジョブホッピングが盛んなため、技能が蓄積されにくい。この限界をSPS導入により克服し、中国市場でのトヨタ的生産方式を確立している。 当該年度は、以上に述べた中国調査をはじめとしてこれまでの中国および日本国内調査をもとにして、研究成果として山崎修嗣編著『日本・中国の自動車産業サプライヤー・システム』法律文化社(2010年4月刊行予定)としてまとめた(709文字)。
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