「介護・福祉の経営学」をマネジメントの視点より構築するために、19年度の研究成果(アンケート調査など)を踏まえて、(1)地域社会と介護・福祉システム、(2)サービスの経営とマネジメント、(3)介護・福祉専門職の人的資源管理、(4)経営成果と財務成果の4つの問題に焦点をあわせて調査研究を進めた。 地域社会と介護・福祉システムについては、愛知県の介護保険計画の展開を追いかけるとともに、蒲郡市・不二福祉会と辰野町・かたくりの里・グレースフル辰野の2ケースを取り上げて、サービス事業者の地域連携に注目した。 サービスマネジメントについては、せんねん村、平田豊生苑、多治見陶生苑、キートスホームなど特別養護老人ホームでヒアリングを重ねてきたが、高齢者の介護と生活支援をリハビリ理念によって組み立て要介護度の改善に成果をあげている山口の夢のみずうみ村の取り組みに関する観察とヒアリングを行った。 介護福祉職については、人材確保と育成に焦点を絞り、辞めないで5年以上継続して働いている介護職を対象として、入職動機、キャリア、介護観の涵養と知識・技術の獲得、職場とソーシャル・サポート、達成感・有能感、キャリアビジョンなどについて面接調査を重ねることにより、早期に離・転職していく介護職が定着する理由を明らかにした。 経営成果と財務成果について、天竜厚生会の協力を得て内部に関わることにより、管理会計システムの導入と運用を中心にして経営改革の取り組みを追求している。 21年度には、こうした4つの介護・福祉経営の柱にそって調査結果を取りまとめ、介護・福祉経営の体系化をはかっていく計画である。
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