法政大学イノベーション・マネジメント研究センター内にミクロ流通研究会を設置し、中堅・若手を中心に10名の研究者を組織した。定期的に研究会を開催し、分析枠組みを検討するとともに、(1)日本の優秀小売企業、(2)小売業の配送センター配置戦略、(3)食品スーパーの店舗業務に関する調査を実施した。その分析結果に基づき、各業態分野からイズミ、セブン-イレブン・ジャパン、ファースト・リテイリング、コメリ、しまむら等12社の優秀企業を選定し、その競争優位の持続性がどのような経営戦略により維持されているかを探った。年度末には2泊3日の研究合宿を開催し、相互理解を深めると同時に、2010年研究書刊行に向けて各自の担当事例と各自の執筆構想を話し合った。 具体的には、競争相手との違いを生み出している各社の中核的な組織能力が何かを特定し、その発生と発展・変容のプロセスを実証的に明らかにした。さらには、各事例研究を比較検討することで小売企業の競争優位性構築のメカニズムを理論的に分析し、小売りイノベーション・モデルを概念化することを目標にしている。当初計画通り、矢作が全体の研究計画を策定し、外川が補佐する形で、順調に研究成果を積み上げた。なお、われわれの研究成果の一部が、『日経MJ(流通新聞)』2009年3月20日付け1面で、「日本の優秀小売企業の条件」として取り上げられた。
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