研究課題/領域番号 |
19330103
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
糟谷 啓介 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (10192535)
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研究分担者 |
イ ヨンスク 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (00232108)
安田 敏朗 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (80283670)
岩月 純一 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (80313162)
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キーワード | 社会学 / 言語政策 / エスニシティ / アイデンティティ |
研究概要 |
平成19年度は、まず研究代表者および分担者がこれまでおこなってきた研究を、本研究課題に関連付けるかたちでさらに発展させることにした。研究代表者は言語社会学の先行研究を整理し、これからの理論的枠組み構築のための論文を発表した。また、言語が集団のアイデンティティ形成に関わるのは、ひとつには他言語との接触ないし対抗の状況があるからであるという視点から、翻訳のもつ言語政策的意味について研究を進めた。その成果は、11月に国際学会で行った共同発表に反映されている。その発表では、近代日本における専門用語の変遷を概観し、言語に表示される文化的アイデンティティのあり方に考察を加えた。さらに、専門用語の問題に関しては訳書を上梓し、研究のための補助作業とした。他の分担者は、東アジアの言語ナショナリズム、言語政策と帝国性の分析、東アジアの文字政策の分野でそれぞれ活発に研究を進め、成果を論文あるいは学会発表の形で公にしている。代表者と分担者は、研究科のゼミナールを通して、常日頃接触し、研究成果の周知を図っている。年度当初には共同研究の中間成果をとりまとめて研究科内のワークショップを行う予定であったが、ひとつには分担者二名がほぼ時期を重ねて海外での学会発表を行わねばならず、他方で、韓国の成均館大学と本研究科の共同コロキウム(研究集会)の開催が実現することとなったため、研究代表者がコメンテータとして、分担者一名が発表者としてそのコロキウムに参加して、本共同研究の成果の一端を報告し討論を行った。このコロキウムは、東アジアにおける〈書くこと〉の社会的・文化的意味の多様な側面をとりあげたもので、学問的に実り多かっただけでなく、海外研究者との交流という点でも大きな意義があった。
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