研究課題/領域番号 |
19330103
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
糟谷 啓介 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (10192535)
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研究分担者 |
イ ヨンスク 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (00232108)
安田 敏朗 一橋大学, 言語社会研究科, 准教授 (80283670)
岩月 純一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (80313162)
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キーワード | 国際社会 / エスニシティ / 言語政策 |
研究概要 |
本研究は、社会集団のアイデンティティ形成と言語政策との関係性を解明することに努めてきた。広い視野で見るならば、言語政策を特定の文化の規範化のための自己記述としてとらえることができる。これは他言語との境界を強化すると同時に、自言語内部における異質性や多様性を排除する傾向をもつ。それに対して、現実には複数の言語が接触することで、設定された境界が乗り越えられる場合がある。つまり、集団のアイデンティティ形成と平行するかたちで、言語のレベルにおいても、境界を強化して内部を純化しようとする動きと、言語の接触と混淆による多様化の動きが相反するものとして存在する。理論的には、この二つの方向を極としてもつ参照枠のなかに、個々の言語政策を位置づけることができよう。こうした枠組みに基づき、本年度は各自の専門領域における研究を進めることを目標とし、その研究成果は、発表された著書と論文、学会等での研究報告等に見られるとおりである。事実、本研究の成果として発表された著書は、書評にもとりあげられ、社会的に大きな反響を呼んだ。それとともに、他研究機関との共催によるシンポジウム開催に力を尽くし、研究科全体の研究活動にも大きく貢献した。上海財経大学で行なわれた国際シンポジウムは、研究代表者の所属する言語社会研究科が共催し、研究代表者と研究分担者が報告を行なった。このシンポジウムの成果は中国で公にされる予定であるが、現時点ではまだ公刊に至っていない。また、本研究のメンバーは、日本の国立国語研究所、韓国の国立国語院、言語社会研究科の三者の共催によるシンポジウムをコーディネートし、代表者がセッション司会を務め、研究分担者が報告を行なった。このシンポジウムは日本と韓国で実際に進められている言語政策との接点を探るものであり、本研究の進展性と現実関連性を示すことができた。
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