研究分担者 |
上野 加代子 徳島大学, 総合科学部, 教授 (50213377)
落合 恵美子 京都大学, 文学研究科, 教授 (90194571)
中筋 由紀子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60303682)
長坂 格 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (60314449)
藤田 道代 大手前大学, 現代社会学部, 教授 (00219023)
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研究概要 |
本研究の目的は,東アジア、東南アジア諸地域における高齢者のライフコース調査を,家族イベントに着目して行い,社会変動とのかかわりで考察することによって,20世紀のアジア史を個人、家族、社会の重なり合いにおいて理解することである。研究目的に即した研究として,韓国と中国大連における質問紙調査の企画および,アジア諸地域における高齢者のライフコースインタビューを実施した。韓国および中国大連では,現地の研究協力者との交渉が成立し,2008年度に実施する質問紙調査の方法と内容の大枠について,合意形成することができた。高齢者ライフコースインタビューは,中国新彊ウイグル,フィリピン,日本において実施した。新彊ウイグルでは都市部および農村部に居住するウイグル族の高齢者,フィリピンではエリート女性に焦点を当てたインタビューを行った。いずれも先行調査が無い分野であり,貴重なデータを得ることができた。日本(関西地域)においては,戦争体験に焦点を当てたインテンシブなインタビューを実施し,語られたデータの解釈についての意味論的考察を行った。 当初から想定したテーマに加え,「国際移動とライフコース」のテーマを重要課題と位置づけ,タイに移動したミャンマー女性を対象者にしたインタビュー調査を実施した。また,韓国における国際結婚の動向について,ソウルで開催された国際シンポジウムに参加し,専門家との意見交換を行った。 初年次に国際セミナーを開催する計画であったが,研究プロジェクトの理論的骨格を定め,調査研究の成果を国内の研究者同士で共有することに力点を置くこととした。ライフコース研究の理論的到達とそれをアジアに応用するための視点と方法について,当該分野の専門家である安藤由美氏をゲストに迎えた公開研究会を開催し,研究の理論的方向を構想するとともに,東海地域の研究者ネットワーク形成という機能を果たすこともでき,有意義であった。
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