研究概要 |
本研究は,1970年代以降の大都市の転換過程とそれに関連する理論的展開を背景とし,わが国大都市の場合に無視できない少子高齢化という人口学的転換も視野に入れて,東京郊外の-自治体である三鷹市に焦点を当て,地域情報化と市民協働の実践がどのように結びつき,内発型都市活性化政策が展開されているかを明らかにすることを目的としている。本年度は,主として自治体の政策とその背景となるコミュニティの人口学的変化に研究の焦点を絞った。 情報産業政策と市民協働1980年代のINS実証実験から,市民参加型情報都市構想に至る過程を,インターネット情報の検索,市役所担当部局の聞き取り調査,三鷹市の産業政策・情報政策に関する文書資料の分析などで跡づけるとともに,国勢調査及び人口動態統計の三鷹市分の抽出と東京都全体における三鷹市の位置づけについても分析した。 コミュニティ政策と市民参加1970年代に先進的に取り組まれたコミュニティ政策から2001年の三鷹市新基本構想・第三次基本計画に向けての「三鷹市民プラン21会議」にいたる市民参加の経験と現状を明らかにするために,コミュニティ政策に関する文献資料の収集・整理と市役所担当部局における聞き取り調査を行った。 その結果,三鷹市では,すでに人口成長期にあった1960年代に下水道整備を先行的に進め,その過程で都市経営的手法を導入していたこと,1970年代の人口安定期にコミュニティ政策に移行し,つねに新;しい市民参加手法を開発してきたこと,その間に脱工業化,少子高齢化が進行,1990年代後半に,東京の情報サービス経済化のなかでSOHOCITY構想を先駆的に提案してきたことなどの経緯が明らかとなった。
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