当初予定されていた衆議院総選挙が実施されず、本研究の重要な柱である政治ニュースの特徴とそれに関連する視聴者の政治意識・投票行動との関連性を実証するためのデータが得られなかったため、平成21年度に統計調査を延期した。平成21年8月30目に総選挙が実施されたことを受けて、9月1日から10日にかけてインターネットを利用した「メディア接触行動」「政治意識」「投票行動」にかかわる調査を実施した。調査は、人口別に3つの地域区分をおこない、全国で20歳以上70歳未満の1500名を対象にした。 それとともに、20歳から70歳までの一般市民50名を対象に、8月16日から30日までの期間、どのようなメディア接触をおこない、テレビ番組のなかのニュース報道やバラエティー番組の何に注目して視聴していたのか、「テレビ日誌」の記述をおこなってもらった。このことを通じて、日常生活の中での市民のメディア利用の実態の一側面を明らかにすることを目指した。 以上の調査から次のような知見が得られた。まず「総選挙の投票に際して、最も役立った情報源は」という問いでは全体で「テレビ」が43.2%、「インターネット」が14.9%、「新聞」が16.9%を占め、インターネットからの情報が新聞とほぼ同じ程度に利用され、役立っているとの評価を得ていることである。都市別で見ると、「大都市」で「テレビ」が37.7%、「インターネット」が17.6%、「10万未満の都市」で、「テレビ」が44.5%、「インターネット」が144.4%である。これ以外にも、インターネット時代の政治報道・選挙報道の特徴が読み取れる重要な知見が得られた。
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