研究課題/領域番号 |
19330120
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
PAUL Dumouchel 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (80388107)
|
研究分担者 |
EADES Jerry 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋研究科, 教授 (80232106)
後藤 玲子 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (70272771)
テルミハタノ リリアン 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (10340910)
西川 長夫 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 講師 (00066622)
富永 茂樹 京都大学, 人間科学研究科(研究院), 教授 (30145213)
|
キーワード | 多文化主義 / 社会的正義 / 移民 / 政治 / 民族的集団 / 平等 / 社会政策 / 認識 |
研究概要 |
本研究の目的は社会的正義と多文化主義の関係性を探ることであり、同時に社会政策とそのアプローチ方法の比較を行うことである。研究の方法としては社会的/文化人類学的なフィールドワークと理論研究の両方をとっている。フィールドワークの手法により行ったのはジャパニーズ/ブラジリアンの子どもたちの日本の教育制度への統合政策に関する研究、在日フィリピン人と日系フィリピン人に関する研究である。もっとマクロ的なレベルでは、この問題は、特にアジア太平洋地域での現代社会における多文化共生の局面が変化している中での、移民の果たす役割という視点からとらえることができた。 理論研究においてはさまざまな形態の「ネオコロニアリズム」の問題、また、コロニーを持たないコロニアリズムの問題について取り上げた。また、多文化主義の問題の解決に社会的選考理論の枠組みを用いる可能性も探った。ここで用いた社会的選考理論は社会的正義の問題解決のために特別に開発されたものである。 最後に社会的正義の再分配と多文化主義の認識について、それぞれのアプローチの基礎的な理念の相関性についても研究を行った。 2009年度は2010年3月末に開催した国際コンファレンス「Bounds & Boundaries : New Perspective on Justice and Culture」の準備と開催に注力した。さまざまな国から9人のスピーカーを迎え、日本の研究者たちとも共同開催したこのカンファレンスは大変有意義なものであった。幅広く学生も参加し、学生からの投稿論文4本を含め、ワーキングペーパーシリーズに新たに7つの論文が加わった。 来年度はこのコンファレンスとこれまでの業績を元に書籍2冊の刊行を予定している。このうち1冊については単なるコンファレンスの抄録集ではなく、それらをより発展させた新たな論文を掲載し、すべての参加者の合意のもと出版することを目指している。もう1冊については過去4年間の主な成果を集積したものとなる予定である。
|