研究課題/領域番号 |
19330121
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
与謝野 有紀 関西大学, 社会学部, 教授 (00230673)
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研究分担者 |
大西 正曹 関西大学, 社会学部, 教授 (70066421)
高瀬 武典 関西大学, 社会学部, 教授 (90187956)
林 直保子 関西大学, 社会学部, 教授 (00302654)
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キーワード | 一般的信頼 / 制度的信頼 / 格差 / GIS / メッシュ統計 / 見極め実験 / 階層 / 所得 |
研究概要 |
本年度は、1)「討議実験、委任分配実験および見極め調査システムの開発」2)「地域メッシュ統計をもちいた全国の不平等分布のGISソフトによる描画」3)「商店街等における信頼感、信頼性の生成過程の聞き取り」の3者を中心に研究を展開した。1)については、「日本の大統領選」という討議実験課題を新たに開発し、4名を単位とするグループワークを実験参加者に課すとともに、同じ4名に委任分配実験を行いペアワイズのデータを収集した。討議実験の過程は、画像分割記録システムにより動画として記録し、この動画と委任分配実験で測定した実験参加者の信頼性のデータから「見極め」課題を作成した。この課題をタブレットPCで容易に実行できるシステムを作成し、実験的手法を援用した新たな社会調査手法の開発の基礎構築を完了した。また、実験においては、討議と委任分配実験の順番をコントロールしており、この分析の結果、討議実験が先行する条件において、実験参加者の信頼性が大きく上昇することが明らかになった。この結果は、既存の社会心理学の主要理論を反証するものであり、特定の他者との関係が築かれると一般的他者への信頼性が上昇することが明確に示された。2)については、日本全国の標準4次メッシュ(約500メートル四方)について、ジニ係数を計算し、兵庫県を一例としてこれを描画するとともに、既存のデータとつきあわせることで、不平等と信頼の相互規定関係について検討した。また、3)については、大阪府下の天神橋筋商店街を中心に詳細な聞き取り調査をおこない、組織的信頼の人工的生成が困難であり、組織の存在が信頼生成の必要条件としかならないことを明らかにした。
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