研究課題/領域番号 |
19330124
|
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
出口 正之 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (90272799)
|
研究分担者 |
西村 祐子 駒沢大学, 総合教育研究部, 教授 (80276451)
廣瀬 浩二郎 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 准教授 (20342644)
|
キーワード | 言政学 / 言政学価 / NPO / NGO / グローバリゼーション / Linguapolitics / Linguapolitical valence |
研究概要 |
第一次言政学に関して、出口は5月に米国に出張、アジアを含む世界3000人が集まるNGOの国際会議(COF主催)に参加し、参加者にインタビューを行った。また、7月には、ビルバオの多言語状況を調査後、バルセロナの国際学会で、参加者に対するアンケート調査を英語、フランス語、フランス語で実施した。西村は、パリ(フランス)、ビルバオ、バルセロナ(共にスペイン)、マレーシアと精力的に調査を行った。また、国内NPO,NGOに対して、言政学的な調査を実施した。 第二次言政学については、出口が米国の国際点字研究センター(5月)、日本点字図書館(2月)を訪問、英語と日本語の標準化問題に関する最新の状況の把握に努めた。廣瀬は3月に米国に出張し、主として、博物館・美術館における展示の言政学的調査を実施するとともに、英語の「点字から墨字」に転換するソフトウエアの研究状況を調査した。 研究成果の発表に関しては、出口と西村は、バルセロナでの国際学会ISTRでこれまでの成果を口頭発表した(レビュー付き採択。7月)。 理論面では、言政学的ネットワークを可視化する科学的な手法について、研究を継続している。その際、「言語価」(Linguapolitical Valence)を(1)組織ベースで定義する場合、(2)個人ベースで定義する場合の科学的な厳密性について、自然科学者とも議論を行った。特に、神戸への新築が計画されている理化学研究所の第3世代PCクラスタのスーパーコンピューターによって言政学的モデルが構築可能かどうか、検討を開始した。 こうした中で、今年度の大きな焦点の一つは、言政学的観点からみた「日本語表記の変化」である。研究チームは言政学的観点から日本語はハイブリッド化が避けられないと予想していた通り、オバマ大統領の就任演説に関する見出しに、日本語の日刊紙である朝日新聞が、Inaugurationという英語をそのまま使用したり、演説そのものを英文で記載したりするなど、言政学的な配慮が社会で頻繁に見られるようになった。
|