人々の「生活空間」が、地理的な制約に極度に依然していた前世紀までと異なり、近年は、インターネットの世界的な発展によって、NGO(非政府組織)等による国境を越えた連携が「日常的に」かつ容易に行われるようになった。また、その影響もきわめて大きくなってきている。また、プログなどの新たなネット情報の公共圏が誕生し、急激な拡大を見せ、従来、マスメディアが果たしてきた世論構築の役割に対して、これらの動きも、学問的な意味を考察する必要が出てきた。 「言政学」(Linguapolitics)とは、研究代表者が世界に先駆けて提唱したものであり、地政学の地理的な「生活空間」に代わる「言語空間」の社会科学的意味を考えるための体系を目指すものである。実際に、最近のNGO(非政府組織。本申請書では非営利団体NPOと区別しないで使用する)等の連携にとって、国境の持つ意味は極めて薄くなってきており、グローバルな連携が強まっている。しかし、その実態がどのようなものであるかは、なかなか明らかにされていない。本研究は、インターネット時代の連携が、「言語」という基本的な媒介手段で行われることに着目し、そのことに伴う団体等の連携や分断の影響を探るものである。なお、言政学の定義は、研究代表者によって<複数の「言語」が使用可能な状況の中で、1つ又は複数の「言語」を取引言語として選択する前後に生じる、社会的な影響を考察する学際的科学>である、としている。
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