(1)本研究は、母子生活支援施設の現代的役割を問い直すことを目的としている。母子生活支援施設は児童福祉法に基づく児童福祉施設であるが、母子が一緒に生活する施設であり、その援助も独自性を有している。現在、その利用者は、DV被害者や、精神・知的障害を伴う者、さらに実家の家族の援助が望めないシングルマザーの利用が多く、その社会的なニーズは高い。具体的な援助も、住居提供に伴う相談援助や子育て支援だけではなく、DVなどの危機対応や、母親の就労支援のための夜間・休日・病児保育などの保育サービスの充実、さらには地域に住むひとり親世帯への支援という視点からも期待されてきている。 (2)しかし一方で、NPO活動や他の子育て支援策の充実により、母子生活支援施設に期待される役割も変化しつつある。本研究では、これまでの施設をめぐる経緯や関連する諸調査と、家庭訪問を中心として展開しているアメリカにおける援助との比較の中から、現代における母子生活支援施設の役割と援助に関する新たな方向性を探る。
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