研究概要 |
経年的な子どもの発達、社会適応、健康状態、問題行動の発現への影響を踏まえ、科学的な根拠に基づく「気になる子ども支援プログラム」を開発し、実用化のためのモデルを提案する。 また気になる子どもの特性別に発達の軌跡と関連要因に関する学術的な知見を得るとともに、すでに開発済みの「保育の質の評価指標」に「気になる子ども支援プログラム」の内容を反映し、保育園、認定子ども園など、幼児期の支援機関における気になる子どもへの支援の充実を図ることを目的とする。 初年度は、国内外の「気になる子ども支援プログラム」に関する情報収集、保護者と子育て支援専門職の気になる子どもの支援に関するニーズと内容把握、「気になる子ども」発達軌跡と関連要因に関する既存データ再分析を行った。 分析対象は全国の0歳〜6歳児と保護者約24,000組であり、毎年3,000名ずつ平成11〜18年の8年間パネルコホート研究を継続したデータである。調査内容は、保育環境、家庭環境、子どもの発達状態、健康状態、社会適応、問題行動、家族と子どもの属性などである。子どもの社会性の発達の軌跡を把握し「気になる状態」の統計的な根拠を得るため、子どもの特性別に発達の軌跡と関連要因について分析した。 具体的には、家庭環境要因(保護者とのかかわり、友人とのかかわり、社会的なかかわり、安全性、制限や罰の回避状況など)、保育環境要因(保育利用時間、保育開始年齢など)、保護者特性要因(周産期からの保護者のストレス、健康状態、就労、年齢など)、子ども特性要因(身体・精神面の健康状態、気質など)、家族特性要因(家族構成、きょうだいなど)、地域サポート要因(子育て支援の状態、連携など)の把握とともに子どもの社会性の発達を3つの因子に類型化し、今後の海外研究と比較検討が可能な客観的な評価手法を提案した。
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