本研究で解明すべき点は、自立支援法の後半5年の検証と地域的特徴を踏まえた自立支援策の在り方を検討することである。研究の2年目である2008年度は、以下の調査・研究等を実施した。 1、「実施計画」策定自治体に対する調査。守口市域の野宿生活者(ホームレス)に対する分布図と生活実態調査(回答率約50%)結果を踏まえ、社会資源のない自治体の特徴を明らかにした。また、2007年厚生労働省実施の全国調査データについて使用許可を受け、大阪府等の自治体の地域的特徴に関して分析している。また大阪府泉北・泉南ブロックの巡回相談記録等についてまとめている。さらに、自立支援センター就労退所者支援のNPO「Oikos堺」入所者の資料を入手し支援の事例検討を開始している。 2、「実施計画」を策定していない自治体における担当部局とホームレスに対する生活実態に関する聞き取り調査。兵庫県下で最もホームレスが多い尼崎市の生活実態について「悉皆調査-分析編」を刊行した。また、同市の概数調査は、2007年度に引き続き2008年度も実施し、調査結果については属性別マップ等支援のための素材づくりをした。 3、定点観測のため資料収集と支援団体等への聞き取り調査を実施した。大阪府・市はもとより仙台市、徳島市、和歌山市等の支援組織等について実施した。また地方農村都市の社会的不利条件にある就労不安定層についても聞き取り調査等を実施した。 4、ホームレス支援システムのあり方の比較を行うため、先進的と考えられる韓国ソウル市支援システムの変容過程を把握するため現地聞き取り調査を実施した。 5支援団体の全国組織「ホームレス支援全国ネットワーク」の政策提言活動等に協力した。
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