研究課題
平成19年度は、共同研究の初年度であり、研究分担者12名と研究協力者5名の計18名の研究組織において大正期中頃に成立されたと指摘される社会事業の一般的見解に対して、地域社会・宗教・施設・団体・専門職・制度・政策という多様な観点から社会事業の歴史的評価について先行研究の収集とその評価の分析をもとに議論を進めた。その結果、社会事業は明治期後半にはじまる地方改良事業の一環として国家的指導にもとづく感化救済事業が展開するなかで、地域社会の行政組織が社会事業に関与することで展開するとの共通認識を得ることができた。さらに、その社会事業は社会政策の動向のなかにおいてもある一定程度の役割と機能を担っており、国民統合の問題とも不可分である傾向がみられた。しかしながら、個別の地域や宗教、専門職・団体や施設の組織形態を通して社会事業の具体的展開について検討すれば、個別の社会事業の独自性に加え、現代的特質とも指摘できる社会性の問題ならびに共同性の確保の問題も垣間見ることが可能であるとの中間的な共通認識に達している。この点については、地域や宗教、施設等の違いにその個別的展開を見出しつつも、他方で国家の政策に連関せざるをえないという共通性もあるのではないかと総括しているが、この点は、次年度の一次史資料をもとにした歴史分析とその検討結果によってさらに研究課題に接近でき社会事業に対する多様性を明らかにすることができるものと考えている。
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