本研究の目的は、自己の感情についての推論と他者の感情についての推論の両者を統一的に論じる理論的枠組みを作るため、実験に基づくそれぞれの実証的証拠を得ることである。自己の感情推論については感情予測研究の枠組みを利用して、将来の自己の感情を推論する際のバイアスとそれを除去する方法を明らかにする。他者の感情推論については社会的文脈情報から自発的に他者の感情を推論する過程とそれを制約する条件を明らかにする。その過程で自己の感情状態が利用(投影)されやすい傾向を示すとともに、投影を低減する条件を明らかにする。加えて、感情推論が社会的行動に結びつく過程の検討を開始する。
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