コミュニケーション・チャネルの持つ相互関連的な働きについての理解を高め、また、意識されずに用いられているチャネルの働きについてのフィードバックにより、意図的な意思表現の強化、そして、2者・小集団場面におけるコミュニケーションの記号化と解読力の実践的に活用することが基本目的である。 1)話し手のスピーチ速度と視線量を操作した刺激を受け手に提示し、受け手の社会的スキルによって話し手に対する説得性認知が異なるのかを検討した。2)笑いによって誘導されたポジティブな気分とコミュニケーション行動との関連について、初対面の2者間で行われた会話行動を対象に検討し、気分誘導後、女性では活動的快群で動きの頻度が大きく、男性では活動的快群で動きの頻度が小さいことが明らかになった。快感情の複合的効果を検討した。3)課題解決場面を設定し、昨年度と同様に課題解決を目的とする4人集団でのコミュニケーションを設定し、問題解決の正否と参加者の自他評定(リーダーシップ、自己主張、親和性等)との関係について、蓄積したデータを用いてさらに精度高く、検討した。この課題後に、参加者を録画映像を視聴し、参加者自身による評価を行った。未達成時に社会的外向性の効果が大きく、リーダーシップ、参加度、相互作用がより活発であることが示された。リーダーシップ行動の程度は、達成正否の別に異ならず、相互作用を促進していることが示された。4)昨年度収集した2人会話シーン(先輩一後輩、親子、きょうだい、友人、恋人・夫婦関係等)を提示し、回答者の社会的スキル尺度(数種)を規準としながら、各関係の代表性を有するシーンを選択し、適切な対人関係判断課題を選定した。
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