潜在変数モデルを、ベイズ階層モデルとして位置づけ、統合化し、理論的な精錬を図るとともに、具体的な現実問題に対応して、それぞれに解を与える分析手法を開発することを目的とした。その理論的根拠付けと意義は明確になった。また、実際的な手法の開発として、虚偽発見、非常に多くの変数に対する因子分析、消費者の購買行動、テストの等化、妥当性の検証などに適用した。 虚偽発見のためのベイズ的方法の肝要は、生理学的指標に対する反応に個人差の影響が大きいことにかんがみ、個人をまずいくつかのクラスに分類し、そのクラスへの所属度として表現したことである。 この考え方は、ベイズ階層モデルとしてみれば、仲介する変数として、潜在的なクラスを表すダミー変数を配する考え方である。因子分析は、それ自体が潜在変数モデルであるが、変数の数が極めて多いとき、クラスをあらわすダミー変数を示す階層を付け加えたモデルを開発し、実データに適用した。この方法は、対象とする変数の分類のためにも使うことができる。 マーケッティングでも、基本的にこの考えを踏襲するが、さらに、モデルを現実にあわせるために複雑モデルを採用している。 テストの等化やリンキングにおいては、共通被検者法の場合、共通ではない被検者の得点は、観測されない潜在変数である。このことを考慮し、真の得点の推定は、最適な等化、あるいは、リンキングの実際問題をベイズ的推定の問題として解を与えた。 以上要するに、現実問題に即して、ベイズ階層モデルや数値解を求める手法を精錬し、役に立つ方法を開発したことに意義があると考える。
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