研究分担者 |
南風原 朝和 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50156246)
清河 幸子 東京大学, 教養学部, リサーチフェロー (00422387)
杉澤 武俊 独立行政法人大学, 入試センター・研究開発部, 助教 (30361603)
瀬尾 美紀子 相模女子大学, 学芸学部, 特別研究員 (90431775)
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研究概要 |
これまで開発をすすめてきた数学の学力,学習力診断テストCOMPASSについて,実施マニュアル,採点マニュアル,分析用ソフト等を整備した。最新バージョンを小学校,中学校で実施した結果を学校にフィードバックし,授業改善のためのコンサルテーションを行ってきた。一方,COMPASSのコンポーネントに即した指導法を授業形式で行えるような「学習法講座」を開発して,中学生を対象に試行的な実践を行った。具体的には,「(1)数学的概念,用語の理解」「(2)文章題解決における図表の利用」「(3)論理的推論のための方略」「(4)工夫による迅速な計算」をとりあげた。このうち,(1)(4)むについては,90分ほどの講座でもかなりの効果が見られ,日常的な学習の改善にも役立ちそうなことが示唆された。(2)の図表の利用については,ニュージーランドの学校における授業観察の結果から,生徒間の数学的コミュニケーションの中で図表を使うことが,個人的な問題解決での図表利用に結びつくことが示唆された。また,(3)の論理的推論の進め方については,我が国の算数,数学教育の中で直接的に扱われていないため,問題文から具体例をいくつか生成しつつ,証明または反例の提示へとすすむ方略を教示して練習していくようなプログラムを考案し実践してみたが,十分な定着や効果はまだ見られておらず,今後の大きな課題である。なお,COMPASSの構造については,階層的な因子分析に加えて,新たな解析法であるRule Space Modelの適用を試み,そのための基礎的データを取得して分析を開始した。
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