本研究は、(1)妊娠期における母親の「想像上の子ども」に関する表象の質が、母親自身の成育歴に由来するアタッチメント全般についての表象や種々の社会文脈的要因等とのいかなる交絡作用を通して規定されるのか、また、(2)それが出産後にかけていかなる連続性や変化を示すのか、変化があるとすれば、その変化は子ども自身の気質的特徴や子育てを取り巻く社会文脈的要因等との関わりにおいて、いかにして生じるのか、さらに、(3)母親の子どもに関する表象やアタッチメント全般に関する表象の質は、母親の日常的状況における、どのような養育行動や情動表出の側面に特に現れ、また、今度はそれらを介して、いかに子ども自身のアタッチメント形成に通じ得るのか、についての解明を企図したものである。
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