研究課題
19年度に構築した確率的概念構造を用いて、比喩生成の基本モデルを構築した。19年度に新聞データ10年分から、形容詞-名詞の係り受け共起頻度データを抽出し、抽出したデータに対し、言語統計解析を行い、形容詞・名詞の潜在意味クラスを確率的に推定することで、形容詞・名詞の確率的概念構造の構築を行った。当該年度では、19年度に構築した確率的言語知識構造に基づくニューラルネットワークを用いて、「形容詞+名詞」という入力に対し、「Xのような名詞」という比喩表現を生成する計算モデルを構築した。モデルの構造は、入力層、中間層、出力層の3層からなる階層型フィードフォワードニューラルネットワークであり、入力層の各ノードは各単語(名詞または形容詞)に、出力層の各ノードは各名詞に対応づけられる。また、中間層の各ノードは、言語統計解析により推定された形容詞・名詞の潜在意味クラス、すなわち人間の概念カテゴリに対応づけられる。各層のノード間を結ぶリンクの結合強度には、言語統計解析から得られた、単語(形容詞または名詞)が与えられた時の潜在意味クラスの条件付き確率を用いている。さらに、比喩生成の心理学実験を行った。実験では、被験者に「形容詞+名詞」を提示し、「Xのような名詞」という形式の比喩を生成させた。モデルのシミュレーション結果と心理学実験結果とを比較することで、モデルの心理学的妥当性を検証した。上記の手続きを通し、概念カテゴリを通じて比喩が生成されるという、比喩生成の基本メカニズムを理論的かつ実証的に明らかにした。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
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