研究概要 |
偏光フィルタ映像提示トリックを活用した目撃記憶変容の実験研究を国内外で実施推進した。Victoria University of WellingtonのFrench, Garryらと共同で映像提示トリックの有効性を確認する実験研究を実施し、学術研究誌Behavior Research Methodsに公刊するとともに、国際学会SARMAC8で発表した。この提示トリックを使うと、2つの映像の一方を見ている被験者は意識的にも無意識的にももう一方の映像に影響を受けていないことが確認された。昨年度までに国内で実施した親子の目撃者間の記憶変容に関する実験研究の成果の一部を、北林真樹子と協同で学術研究誌Psychology Journalに公刊した。小学生の子どもとその母親が同じ場面を目撃し、食い違う情報を得た場合、常識的に考えられているように母親の意見が重視されるのではなく、子どもの目撃情報も尊重されることが実証された。昨年度新たに海外研究協力者となったUniversity of VictoriaのLindsayとその院生Azadによるカナダでのデータ採取も開始され、その一部を国際学会SARMAC8で発表した。また、偏光フィルタ映像提示トリックを教育場面や対人同調場面に応用した実験研究への活用も試みた。教育への応用研究の一部を、研究協力者の内田昭利と連名で学術研究誌Research in Educationに公刊した。提示トリックを使って、Aschの同調実験を再現した研究(新居美保と共同研究)を学術研究誌International Journal of Psychologyに投稿し、公刊予定(印刷中)である。さらに、偏光フィルタ映像提示トリックの記憶認知研究への応用をテーマにしたシンポジウムを国際学会SARMAC8において企画し、司会及び発表を行なった。
|