研究概要 |
同じ事件を目撃しても,目撃者間で証言が食い違うことがたびたび生ずる。目撃者が見まちがいをしたり,目撃後に記憶ちがいをしたりすることがあるからである。しかし,実際の目撃者証言においては,どちらが見まちがいや記憶ちがいをしたのかを知ることはできない。本研究では,特殊なトリック(MORIテクニック)を用いて,目撃者にあたかも「見まちがい・記憶ちがい」が生じたかのような事態を作り出す。こうした実験により,目撃者の「見まちがい・記憶ちがい」が複数の目撃者間の話し合いによってどのように解決されていくのかを検証することを目的とする。守は過去約10年間の間に,3回の科研費の補助を受け,MORIテクニックの洗練と有効性の検証(萌芽研究:1996-1998),MORIテクニックを用いた目撃記憶の実験研究(基盤C:2001-2003),MORIテクニックを用いた目撃記憶研究の国内外での大規模共同研究(基盤B:2004-2007)を行ってきた。2007年からの4年間では,2004年から始まった国内外での共同研究プロジェクトをさらに拡大すること,さらに,これまでに目撃記憶との関連性が見出された種々の要因について,直交表に基づく実験計画を立てることで組織的な大規模実験研究を実施し,要因間の重要度を検証することを目的とする。
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